2013年7月22日月曜日

「そのそも」っていわせるな



市川淳信氏の書籍は全て読みました。同じ事が何度も書かれている科学哲学の本。氏の書籍を読むことで、気になっていた
なぜTOC思考プロセスは現状構造ツリーから始める5ステップ法から3cloud法へ移行したのか?
なぜTOC思考プロセスはビジョンを構築するストラテジックIOマップという図が発展しなかったのか?


といったTOCコンサルタントとして分かっておくべき重大な事もわかるようになってきたすばらしい本です。哲学とかに興味ある方にはおすすめです。



哲学の話になるので難しいのですが、この話は会議やプロジェクト運営の実務に関わる話しで重要
とくに先週TOC思考プロセスの研修をしていたので特に考えるところがあり少し書いてみます。


市川氏の書籍に科学が進化する5つの条件の4番目に過程論という話しがあります。
過程論の反対は目的論ですが、科学は目的論によるアプローチを捨てて、過程論の話しに集中するようになり爆発的に発展したそうです。

例えば、「クジャクの雄はきれいな羽を持っている」これを説明するときなぜ綺麗な羽を持っているのかを考えていく目的論のアプローチと、綺麗な羽がどのように出来上がるのかを考えていく過程論のアプローチ二つがあるとのこと。

目的論で考えていくと、
「綺麗な羽を持っている目的は、メスに注目されるため」
更に目的を考えると
「メスに注目されたいのは、繁殖をしたいため」
と目的は上位に展開されていきます。しかしこれをどんどん展開すると
「繁殖したいのは、子孫を残すため」
「子孫を残したいのは、????」
「????は神の意志?」
といった具合に必ず神の域のような超越的なところに話しが言ってしまいます。
神の域のような話しはそれが間違っているのかどうか反証できません。
よって不毛な議論になり何も生み出さなくなります。

19世紀以降科学の世界ではこのような目的論によるアプローチをやめて、どのように綺麗な羽ができあがるのかの過程を中心に議論されるようになったそうです。過程については仮説を観察や実験で検証することが可能です。よってどんどん真実がわかるようになってきたとの事です。

我々の会議やプロジェクト運営でも、目的論でアプローチする議論が出てくることがあります。
「そもそも何のためにこれをやるの?」
この議論になるとだいたいが収集つかず不毛な会議になります。

この10年、自分はTOC・アジャイル開発・システム思考 3つほど興味を持ってみてきましたが、TOC・アジャイル開発はどんどん具体的な進め方が進化してきたと感じます。これはTOCは「企業のゴールは儲け続けること」アジャイル開発は「アジャイル宣言」といった目的を決めてしまっており関係者はそれに合意している。その中で、目的を達成するための過程についての議論が中心になっているから爆発的な進化がおこったのかもしれません。

一方、システム思考は色々な方法論が出ているには出ているのですが実務的な進化がすくないような?
システム思考はリーダーシップについて過程よりも目的を問う部分が多く、答えにならない超越的な世界にはいりこんでいっているからでしょうか。 


もちろん目的を考えることが重要ではないとはいえません。会議をする目的・プロジェクトをおこなう目的が合意されていなければ過程を探求してもしかたありません。しかし議論が目的論に入り出したら注意しなければならない。そんなことをちらちら考えています。

2013年7月19日金曜日

顧客と販売員をともに成功へ導く販売プロセスとは -ニューソリューションセリング



先日飲みの席で営業マンのモチベーションは何?との話をしていたときに「競争の商談で逆転したときのうれしさは忘れられない」との話がありました。


この本先日紹介したソリューションセリングの新しい本、内容は整理されていますが相変わらず読みにくい。しかし参考になる話しが沢山あります。



まず
売り手である営業マンの構成は、出来る営業マンは20%、普通の営業マンが80%というのが一般的

買い手の構成は、キャズムによると新しいものに飛びつくマニア・ビジョナリーは20% 相見積もりなど面倒なことを求める売りにくい顧客(マジョリティ)が80%いる。

そうすると80%×80% 商談の64%は普通の人が売りにくい人に営業しなければならない、これはとても悩ましいことだとの話しから始まります。

その上で、具体的な販売方法を作らないと売上はのびないとして、どのようにニーズを把握するのか9ブロック法などを紹介しています。

細かいところでは、
価格交渉があった場合、「商談がおくれて、導入計画がおくれてよいのでしょうか?」「弊社の商品による価値は大きいと合意できているのでありませんか?」「御社が抱えている問題を放置した場合の損失は大きいと合意したのではないのですか?」と念押しをして、それからバーターで交渉する。

商談プロセスを進めるため小さなクローズを取っていくために、「御社のニーズにお応えできると思えるのですが、一度かえって弊社の技術と確認させてください。そして再訪問させてください」と答え、少しずつ営業プロセスを進めていく。「商談を先に進めるためには誰に相談しますか?」ときき、商談人数をひろげていくといったコンプレックスセールスの方法

細かい話しですが参考になります。

特に「自分が一番乗りでない場合お売り込み方」と章があり、ここに逆転商談について書かれています。

まず、IBMソフトウェア・グループの自社内調査によると、
>>IBMが課題を定義せず、要求事項を決めなかった場合、競合他社が契約を勝ち取ったケースは93%<<

一番乗りでない商談とは、具体的にはRFP(Request For Proposal)が出されている案件の事で、これはとても不利。ほとんど受注できないと書かれています。

よってまずこのような商談は基本的には断るべきとしてします。

そんな馬鹿なと、、、、思う人もいるかもしれませんが、
RFPが来ているときの状態とは

・一番乗りでない場合、既に長い時間競合他社が商談を進めている。
・お客様は競合他社によって具体的な問題・解決状態・解決機能がわかっている状態になっており競合の物を買う事がほぼ決まっている。
・しかし、お客様には3社見積もりをとらないといけないといった社内ルールがある
・競合は、お客様が必要なRFPを書いてあげている。
・お客様は、このRFPを出して複数社に問い合わせを行う。
・こうやって自社が問い合わせが来る。

この状態だと勝てる見込が10%ないのも当然でしょう。ただの当て馬です。
このような案件ばかり追っていれば成約率はかなり低くなり、貴重な営業マンのリソースをムダに使ってしまいます。


確かに私もこのようなRFPにまじめに対応して無駄に終わった経験がありますので書かれている事は正しいのだろうと思えます。売上が減少しているのに積算の人がボトルネックになっているところよくみます。。

とはいえ問い合わせに対して断るのは現実難しいので、この事を考慮して4つの戦略を提示しています。

1正面攻撃戦略:競合に対して特徴機能で真っ向勝負を挑む
2側面攻撃戦略:競合の提案とは異なったビジョンを創り上げる商談をおこなう
3ゲリラ的戦略:全てを失わないよう、一部分自分が勝てるとわかっている部分だけ売る。
4時間稼ぎ戦略:お客様の意思決定を遅らせる

この本では、相当に機能が勝っていない限り正面攻撃戦略で勝てる事はないので、側面攻撃戦略の具体的方法が詳しく書かれています。


1,ニーズが不明確な状況ではRFPにお答えできないとの断りの連絡をする。このときRFPと同じぐらいのボリュームの複数商品がのったカタログなど資料を送る。
2,それでもと言われた場合、RFPに対応するためには、それなりの人(各ライン部門経営責任者等)に対して、1時間を3回インタビューさせてくれと連絡する。
3,インタビューで、今回の案件の背景にある、主要課題を2つ挙げてもらう
4,RFPに書かれている具体的な問題・解決状態・解決機能について我々も実施可能である事を示す
5,RFPに書かれていない我々の解決できる問題(他社が解決できない問題)の存在を質問する
6,その問題が重大な問題である事を確認する質問を行う
7,質問を通じてできた新たな具体的な問題・解決状態・解決機能を文章化してインタビューした人に確認する
8,我々の持っている機能を活用しないとどれだけの損失があるのか数値で提示した提案書をだす。このとき最も合意してもらった人にも提案書を提出しておく。
9,逆転受注!!

大まかにまとめるとこのような流れになります。なかなか大変なプロセスです。

このような面倒な営業をしたくないならば、こちらからニーズを顕在化させる営業を行ってRFPを作る側にならないといけません。
ひっくり返すのであれば、このようなプロセスを素早く行える売り方を開発しておく必要があります。

さて、今依頼されているRFPをどうしようか。。。


2013年7月9日火曜日

これが全米トップセールスマンのトップ攻略法だ-VITO


法人営業の場合、一人の人だけでなく様々な人の合意を得ないと購入されません。ですので様々な人にどのように合意を取っていくべきか営業プロセスを考えておく必要があります。このようなことをコンプレックスセールスと呼んだりします。


「トップに売り込む最強交渉術」アンソニー・パリネロ

この本に書かれている事全てに賛同できませんが、コンプレックスセールスを理解する上で読むべきところかなりあります。

VITO(Very Important Top Officer)とは、代表取締役とは限りませんが、そのぐらいの地位で「あの人がやるといったらやる、やらない言ったらやらない」という怖い役員クラスの人を指しています。VITOとはゴットファーザーのビートー・コルレオーネから来ているのでしょう。

この本の紹介はまずVITOではなく、シーモア氏(Mr.SeeMore)から。
シーモア氏とは、ユーザーでも決裁者でもない評価をおこなう関係者のこと。このような人に営業することは「なんの意味もない!!」と激烈な事が書かれています。

Mr.SeeMoreの特徴と対応

シーモア氏は、「もっとみせてくれ」と何度も言って商談を長引かせる
シーモア氏は、あなたの提案のあら探しをするのが仕事
シーモア氏は、会社にとってではなく自分にとって気に入る商品かという視点でみる
シーモア氏は、無償教育をもとめている
シーモア氏は、自分のいないときに何かが変わるのを恐れる。
シーモア氏は、あなたに嘘を教えても何とも感じない
シーモア氏から、もらえる情報は重大でないものばかりで、あなたを誤った方向に向けてしまう
シーモア氏に、与えた情報は競合に筒抜けになる
シーモア氏に、商談において重要人物は誰か聞いてはいけない。なぜならば自分だと答えるからだ。

わからんでもないですが、そこまで言うか・・・・といった感じ。

この本では、営業すべきはVITOのみとしてVITO(Very Important Top Officer)の特徴と対応をまとめています。

VITOは、忙しいのでアイスブレークみたいな話しを嫌う
VITOに、商談において重要人物は誰か聞いてはいけない。なぜならば自分だと答えるからだ。
VITOは、今使っている製品について質問しないこと、知らない可能性が高い。
VITOに、出来そうにない対立を強調して自社商品で解決可能である事をアピールすべき。ムリな対立解消をおこなって上り詰めていることが多いからだ。
VITOは、自分の会社に関する話しよりも同業種の話しを好む
VITOは、自分だけでなくあなたを含め誰の時間も無駄にしない。自分の商品が必要は早めに直接的にきけ
VITOに、自社商品が利益向上に役立つと説明するのではなく、売上増加に役立つと説明すべき。VITOは、利益の計算方法を知らない可能性があるからだ。
社員は、VITOのやりたいことを聞きたくない。新しい事を聞いてしまえばやらざるを得なくなり、今期たてた計画はパーになってしまうからだ。
VITOが、あなたの話を遮って話し出したら勝ち。VITOは聞き役としては最悪な場合が多く、聞き役を探している。

利益計算の話しは笑ってしまいますが、当たっていると思います。

この本の言うように確かにVITOに営業する方が効率が良いのは理解できます。
しかしどうやって会うのか?がそれが問題でこの本に書かれているやり方は、残念ながらちょっと古いように思え使えそうにはない。

法人営業では、一人の人を説得しても購入に至りません。複数の人に合意形成を取っていく営業プロセスが必要です。これをコンプレックスセールスと呼びます。

複数の人をタイプで分けると、ユーザー・決裁者・関係者の3種類。
ユーザーは商品を実際に使う人たち、決裁者は購入を承認する立場の人、関係者は決裁者に技術的観点から購入の問題点を指摘する役割の人。

上記の書籍にあるVITO以外無視作戦はキャズム前の商品であるなら有効だと思われます。
しかしキャズム越えを狙っており一般的な企業(マジョリティ)に売る事を考えるには3つのタイプそれぞれにいかにして合意形成をとるかの営業プロセスが必要です。

例えば、TOCのセールス方法では、ユーザーの人には問題の存在に合意するところから始めるマイナス・マイナスバイインとよぶ方法をおこないますが、VITOの場合プラスバイインと呼ばれる別の合意形成プロセスをつかえタイプ別に提案方法を変えます。

このようなことを考慮して複数の人への合意形成方法を検討していくことで、身のある営業プロセスを構築できるようになります。


2013年7月5日金曜日

開発が進化する5つの条件


久しくブログ更新を怠っていましたが、思うことあって市川淳信氏の書籍を読み返しあまりに重要と感じたので自分なりにまとめてみます。




・人がわかるようになるまでの流れ
わかるとは経験していないことを予測できるようになる事。
人が経験を通じてわかるまでの典型的なプロセスは以下の通り


<イメージする>
例えば佐藤さんのことを色々知っている。というだけでは佐藤さんの行動を予測することはできず分かっているとはいえない。色々な経験を抽象化して「佐藤さんは几帳面な人」といったイメージを作ることで記憶することができ、予測に活用できるようになる

<イメージを使って予測する>
例えば佐藤さんから本を貸してくれと頼まれたとする。「佐藤さんは几帳面な人」というイメージから「佐藤さんは貸した本を返してくれる」との予測が立てられる

<予測と観察結果を比較する>
実際に本を貸してみて佐藤さんが本を返してくれたら、イメージは間違っていなかったといえる

<反例をもとにイメージを作り直す>
もし佐藤さんが返してくれなかった場合、その経験をふまえて新しいイメージを作り直す。

このループを通じてわかるようになる。

・科学における仮説検証の方法
わかるまでのプロセスを様々な人が分業できるようにしているのが科学の仮説検証プロセス。このプロセスが19世紀に確立され、以降科学的発見は爆発的に増加した。


<仮説設定>
現象を観察するなどからモデルを作成する

<演繹的推論>
「aであるとaではないが共存しない」「aであるならbである。bであるならCである。ならばaであるならcである」この二つのルールに基づき仮説の結果起こることを因果関係で検討し推論結果を作り上げる。このステップは一本道で枝分かれしない。

<推論結果と観察・実験結果の比較>
推論結果と観察・実験結果を比較する。誤差の範囲内であれば仮説は間違っていないと実証される。

<帰納的推論をもとに仮説の作り直し>
比較結果が一致しなければ反例を検証し新しい仮説を設定する。反例を検証する方法は、帰納的に推論するが、これは一本道の論理的方法はなく、試行錯誤による。

科学の世界は世界中の様々な研究者がこのループするプロセスに従うことにより進化していった。

ここで興味深いのは。
・分業するから爆発的に進化したと言う事
・分業が出来るようになったのは推論方法などが統一されているからという事。
・具体的には演繹的推論方法が統一されており、これは一本道で枝分かれしない事。
・仮説を立てるときの帰納的推論は特に定まった方法はなく、一本道の論理的方法はなく枝分かれしていく、いまだに夢でみたとか様々な方法から生まれているという事。
・19世紀以降科学が爆発的に進化したポイントは、アイデアを思いつく所(仮説設定方法)がスピードアップしたからではなく、アイデアの間違いを発見する所(仮説を検証する方法)がスピードアップしたからという事


・マフィアオファーによる商品戦略の仮説検証方法
以上を元に、私が開発しているTOCセールス&マーケティングでの仮説検証を整理してみる。

<仮説設定>
商品に関係する商品企画・開発・営業各部門から選抜された3名で仮説設定を行う。
新しく開発する商品や既に開発されている商品に関してアピールポイントとなる特徴的機能を3つ考える。
3つを考える方法は特に決まったプロセスはない。

<演繹的推論>
商品企画・開発・営業各部門から選抜された3名で推論を行う。
3つの特徴的機能が生み出す、顧客価値をそれぞれ因果関係でだし、その反対の状態を顧客の困りごととして3つ設定する。
更にこの3つの困りごとがお客様の重大な問題になっているか因果関係で推論する。
重大な問題とは顧客の株主満足・顧客満足・従業員満足への影響と考え推論していく。
この推論はTOC思考プロセスに規定されるルール(CLR)をもちい現状構造ツリーを作成することで実施していく。

<推論結果と観察・実験結果の比較>
営業マンが顧客に訪問し検証を行う。
設定した顧客の困りごとを問題質問、顧客への重大な問題を重大質問という質問の形にして5段階評価で点数をつける。
「4点:能動的に困っていると答えた」
「5点:困っており既に問題解決策を打っているが不満足」
といった高得点が得られれば商品を開発して良い、売り方が開発できる、と判断できる。

<帰納的推論をもとに仮説の作り直し>
質問に対する点数が低い場合その原因を商品企画が検討する。
顧客のタイプで評点の高低に特徴があある場合、セグメンテーションを行い、そのセグメントに集中して営業を行えば十分な売上規模を得られるのかを検討する。
売上規模が足りない、また低得点ばかりの場合、結果をうけて新たな特徴的機能を検討する。
検討する方法が観察法などいくつかの方法があるが定まった方法はない。


今のところ以上という事になる。
企画のステップをきちんとおこなうと、開発するスピードよりも、作るべき物がなにかを企画するスピードの方が遅い。つまりほとんどの企業で要求仕様を作るプロセスがボトルネックになる。

これをもっと爆発的に進化させる仕組みを考えていきたい。